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最初は思いつきみたいなもんだったんです。
確か2005年の11月くらいに、初めて東京でお仕事の打ち合わせをした際、情報管理の話になったんですが、その際、先方がプライバシーマークの取得を検討されているとのことで、弊社の情報管理について問い合わせを受けたんです。
弊社では個人情報や機密情報が記載された資料は施錠できる保管庫に保管したり、各種パスワードの管理などはそれなりに神経を使っているのですが、接客スペースと作業スペースの分離などは物理的に出来るわけも無いわけです。
まぁ、そのときのお客さまにはご納得いただけて無事にお仕事をいただけたのですが、そのとき「このままのオフィスじゃマズイな。」と思ったわけです。
で、そう思うといろいろと気になるところが増えてくるわけです。
お客さま用の駐車場が無くて、いらしてくださるお客さまにご迷惑をおかけしていること。まして6月からは駐車違反の取り締まりが厳しくなるという状況なのに。
また、仲間が1人増えたのでスペースが削られ、増えた書籍や荷物の置場も限られているため、どうしても荷物を人の目につくところへ置かなくてはならないため、オフィスの見た目がだらしなくなりつつあること。
そんなこんなで、「オフィスの移転でも考えるか。」と思ったわけですが、それにしても今のオフィスの環境自体に問題があるわけでもなく、というよりもかなり好条件なわけで、果たしてここ以上の物件があるのかとも思ったりして…。
もともと、前の会社から独立して創業する際、お仕事上の付き合いがあった大家さんの会社の当時の総務部長が骨を折ってくださり、また社長(現会長)にも「いろいろと大変だろうから。」とのご配慮をいただいて本当に特別条件でお借りできた物件なわけです。
お陰さまで、駅から徒歩5分、キレイで大きなビルの1Fに入っているということで、創業時にこの事務所のおかげでどれだけ信用してもらえたか。
それだけに、次にどこへ移るのかはかなり大問題なわけで…。
ここから弊社のプロジェクトはスタートしたわけです。
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事務所の移転については、仲間と何度も話し合いました。
そこで出て来た条件は、まず市街地に近いこと。
というか、出来れば市街地の真ん中がいいということ。
それは、弊社の存在意義に関わってくることだからです。
『中堅・中小企業の販売促進の役に立つ栃木県に根っこを生やした会社』であろう、というのが弊社の存在意義です。
そのためには街の中にいて、うちのお客さまの商品を買ってくれたり、サービスを利用してくださる人達の動きや空気を感じることが出来る場所がいいということでした。
次に、駐車場が事務所に併設されていること。
もう、これから先、お客さまに駐車場での心配をかけたくないということで。
そして、部屋が複数あること。
応接とワークスペースを明確に分けることで、セキュリティの確保はもちろん、ワークスペースへの各種資料の掲示を可能としたいということでした。
大きくはこれぐらいだったでしょうか。
いや、それ以外にも店舗スペースが欲しい、お洒落なオフィスがいい、近くにコンビニは必須など、いろいろあったわけですが…。
そう、それと予算。
出来れば、今の家賃と同じくらいが望ましい…。
と考えていたわけです。
で、物件を探したわけですが、宇都宮市内の賃貸料は高いッ!
宇都宮の市街地で、今の事務所(22.5坪)より広くて、駐車場がそばにある、それも出来れば複数台とかになると、まず物件は限られますし、あっても30万円以上は軽くするわけです。
正直、なんて今まで恵まれていたのかと思い知らされたのです。
で思ったのが、「これだけ出せば買えるんじゃ無いのか?」ということ。
家賃で月30万円とすれば年間で360万円。10年で3,600万円。
20年なら7,200万円。
いけるだろう。
そう思ったわけです、自分は。
…浅はかにも。
もちろん、仲間も嘘だろうと思っていたみたいですが。
それでそこから、物件探しが始まったわけです。
まずは、とにかく片っ端からインターネットで物件を探しつつ、各不動産業者さんへのメール登録をしました。もちろん、街を歩いては売物件が無いかどうか探したりして。
そうしたら、結構、あったんですよ。
で、貰った地図を見て片っ端から回るわけです。
ビル、中古住宅、空き駐車場。
とにかく、どんな物件でもいいから、街中で安いやつという条件で見て回りました。
でも、なかなか帯に短し、襷に長しで、コレっていう物件に出会えなかったですね。
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そうこうしているうちに、市内で40坪くらいの更地があるという情報が入ったわけです。
で、とにかく見に行くかということで最初は自分一人で見に行きました。
最初見た感想は、「悪くない」。
目の前が学校で角地。
大通りに近いけれども、一本スジに入っているので通行量も少なく、また街中へも頑張れば徒歩で行ける距離。
そして何といっても、裏に大谷石の蔵があるのですが、これがいい雰囲気を醸し出していて、見ようによってはまるで自社の建物のようにも見える。
で、これはいいなと思ったわけです。
さっそく、仲間に相談して一緒に見に行ったところ、「確かにいいですね。」ということになり、じゃ不動産屋へ行くかということで、勇んで行ったわけです。
すると、「売れてしまってもうありません。」との回答。
「…。」
そんなことがあるのか?と。
なんとかならんのか?と。
聞き返しても、当然に帰って来る言葉は同じなわけで。
自分も仲間もがっかりなわけです。
ところが…。
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「無いなら、しょうがない。」
仲間も自分もそう諦めました。
それから1週間くらい後、いつものようにインターネットで物件探しをしていたら、あの物件の情報が掲載されているわけです。
別の不動産屋さんに…。
おもしろ半分にその不動産屋さんに資料請求してみたんです。
そうしたら、送られてくるじゃありませんか、あの物件の資料が。
でも、資料の体裁が違うわけです。
価格もこちらの方が安いわけです。
そこで、電話をしてまだ残っているのか確認して欲しいとお願いすると、まだ売れていないとの返事。
じゃぁとにかく話を聞きたいということで不動産屋さんへ。
よく分からないけれど、こちらの不動産屋さんはどうも持ち主に直接確認をしているらしく、本当にまだ売れていないということ。
それでは、購入を検討したいのでと言って価格交渉をお願いする。
するとこちらの希望価格で構わないということ。
それならばということで、とりあえず購入を決めた!?わけです。
この間、わずか1週間くらい。
そう、この浅はかさが、後日、あのような事態を招くのです。
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というわけで契約。
資金は、「いざとなれば家にすればいいさ。」と、マイホームを買うためにせっせと貯めた資金を取り崩して全額現金で。
それこそアッサリ。
とりあえず、これで土地の手当ては出来ました。
後は上物をどうするかです。
もちろん、これについては事前に知り合いの建築屋さんに軽くヒアリングをしてあります。
40坪くらいの土地に3階建てを建てたいのだが、1階は駐車場で、2階と3階が事務所で予算はどれくらいかと。
そのときには、詳しくは分からないが2,000万円もあれば大丈夫だろうという話。
まぁ、それくらいなら会社で調達できるかなぁと思って土地を手当てしたわけです。
ところが…。
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いやはや、ほとんど月イチペースに…。
ここは『月刊 カテル』じゃないはずですが…。
すみません。
おかげさまで、ボチボチお仕事をいただけており、それなりに忙しくさせていただいております。
そんな中で感じるのが、人のつながりということ。
弊社は、広告屋さんのくせに自社の広告をするのが嫌いでして、もちろん飛び込み営業なんてもってのほかというスタイルです。
それは、弊社のビジネススタイルはお客さまと弊社の信頼関係でしか成り立たないと考えているからで、そういう意味では「一見さんお断り」スタイルと言えます。
そんな中で、おかげさまで何とか食べていけているのは、お客さまがお客さまをご紹介してくださるからです。本当にありがたいことです。
だからこそ、私たちは一人一人のお客さまのお仕事に全力投球したいと思っております。
そして、ご満足いただくこと。
その、ご満足いただくことが、次のお客さまをご紹介していただくことにつながるわけで、それこそが弊社の営業活動にほかならないわけです。
ひとつひとつのお仕事に対して全力で取り組むことが、次のお仕事につながる。
そんな当たり前のことを、一生懸命にやりたいと思っています。
ということで、お仕事を紹介してくださいね。
[ garage ]
さぁ、いよいよ建物だぁッと意気込んだ我々は、仲間の友人の設計士さんへ相談することにします。
栃木県出身で東京で頑張っているその設計士の方に連絡すると、たまたま仕事の都合で栃木に行くことがあるのでと言って宇都宮で打ち合わせ。
土地の重要事項説明書や地図なんかをお見せしながらお話を。
土地の形も用途地域や建蔽率なんかの話をしていると、かなり好感触。
ところで予算の話をとお聞きしたら、弊社の希望でいけば最低でも3,000万円は見ておいたほうがよいだろうとのこと。また、中国のオリンピック準備などで鉄鋼の価格も上がっており、実際にはもう少し見込んでおいた方がよいとのお話も…。
う~ん…。ここで絶句。
とりあえず、資金繰りも含めて検討したいとお話し、その日はそこまで。
いやぁ、参りました。
どうも参考までに聞いていた話は、とりあえず建物が建つレベルでの話しであり、むしろ3,000万円でも安いということが後日判明。
で、どうしようかと。
資金的には頑張れば何とかならないこともないのだが、物件の場所等から考えると、そんなに資金を突っ込んで果たしてどうなのかと悩むわけです。
まして、当初からとにかく価格重視で考えていたせいもあり、あの場所でそんな資金を投入していいのか?と悩む日々が始まったのです。